加圧トレーニングで脳梗塞になるって本当?危険性とリスク回避の方法

日本人の死亡原因の上位にある脳卒中。その原因の一つである脳梗塞は、脳の血管に血のかたまりである血栓が詰まることによって引き起こされます。危機的な状況から回復しても、麻痺などの後遺症が残り日常生活に支障が出てしまうこともある怖い病気です。この脳梗塞が、加圧トレーニングによって引き起こされるという説もあります。この説が本当なのか、トレーニングの仕組みと病気の関係や、リスク回避の方法をまとめました。

加圧トレーニングで効果が出る仕組み

そもそも、加圧トレーニングとは一体どのようなものなのでしょうか。通常の筋トレやエクササイズとの違い、どうして効果がでるのかについて見ていきましょう。

筋トレをして筋肉が発達するのは、運動で負荷をかけることによって筋繊維に傷がつき、それが修復される過程で以前よりも筋組織が大きくなるからです。この修復のことを超回復と呼びます。筋繊維は傷ついて超回復するという過程を何度も繰り返すことで強くなり、大きな負荷でも傷つきにくくなります。

つまり筋トレは繰り返し行うたびに、負荷をどんどん大きくしていかなければ効果が出にくくなってしまうのです。トレーニングを行う時間もどんどん長くなってしまいます。それでは毎日の時間的な負担も大きくなってしまいますよね。加圧トレーニングでは、短時間でかなりの効果を出すことができます。その仕組みとは一体どういうものなのでしょうか。

加圧トレーニングとは、身体の外側から血管を専用器具で圧迫することによって血流を制限し、その状態で運動を行うというトレーニング方法です。主に太い血管がある二の腕や太腿を、加圧バンドと呼ばれるベルトのようなもので締め付けます。血の流れを抑制した状態でトレーニングを行うと、通常時より軽い負荷をかけても筋繊維がまんべんなく働くようになります。

また、血流を制限していることによる酸素不足で筋肉に乳酸がたまりやすくなり、それによって成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは筋肉量を増やすだけではなく、美肌効果もあります。また、このトレーニングでは血行の促進効果もあります。血の流れが著しく悪い状態で運動を行うと、普段血が廻らないような細かい毛細血管まで血が行きわたるからです。筋肉量のアップだけではなく、副産物的に様々なメリットがあるのが嬉しいですよね。

脳梗塞の原因とトレーニングとの関係

脳梗塞と加圧トレーニングには、どのような関係があるのでしょうか。本当にこのトレーニングによって、脳の血管に血栓が詰まってしまうのでしょうか。

そもそも脳梗塞は、何らかの原因で脳内の血管が血栓で塞がれ、生命維持に必要な血液が流れなくなることで脳機能の障害を引き起こすというものです。この病気は、突然手足が動かなくなったり、上手くろれつが回らずにしゃべれなくなったり、ふらつきがひどく歩けなくなったりという症状が出ることが特徴です。

身体全体に動くための指令を出している脳細胞が血液不足により機能障害に陥るので、血栓のある場所に対応する身体の部位が動かしにくくなるのです。例えば、大脳に血栓ができた場合には片麻痺と呼ばれる身体の半身に起きる麻痺、感覚障害や言語障害が現れます。小脳や脳幹に血栓ができると、意識障害やふらつき、ものが二重に見える複視などの症状が出ます。

この病気の原因は血のかたまりである血栓ですが、血栓ができやすくなる理由には様々なものがあります。特に代表的なのは高血圧や脂質異常、糖尿病などです。これらは血流を悪くしたり、血管の内壁にダメージを加えます。そうすることで、血栓ができやすくなるのです。

加圧トレーニングの効果として、血行促進があるというのは前述の通りです。一見すると、血栓を作らないためにはこのトレーニングで血の流れを良くすることが良いように思われますよね。しかし、このトレーニングには血管を傷つける危険があるのです。加圧が行われている状態から解放された血管には、一気に血液と酸素が流れ出します。この時に、多量の活性酸素も同時に流れてしまいます。

活性酸素とは、酸化した酸素のことで身体の老化に繋がるものです。ストレスがかかると増えやすいこの活性酸素は、加圧されて血管内に血がない状態でも通常より増えてしまいます。この活性酸素が血液と一緒に血管内を流れることで、血管の内壁に傷がついてしまいます。傷ついた血管は血栓を生み出しやすくなり、それが何らかのきっかけで脳の血管まで運ばれてしまいそこで詰まると脳梗塞になります。

ただし、活性酸素が増えたからといって必ずしも血栓ができるわけではありません。血管や血液が健康な状態であれば問題はありませんが、もし元々血管が弱くなっていたり、血液の流れが良くない場合にはリスクが高まります。ある意味では血栓を作る原因になるともいえるのです。

脳梗塞になりやすい人とリスク回避の方法

加圧トレーニングによって脳梗塞を起こすリスクが高いのはどのような人でしょうか。その特徴と、リスクを回避するための方法を確認していきましょう。

加圧トレーニングで行う血管への圧迫と血流の制限は、少なからず血管に負担をかけます。正しい方法でトレーニングを行えば、すぐに健康被害が出るような心配はもちろんありません。しかし、トレーニングを始める前から血管や血液の状態が良くない場合には、加圧によって血栓ができるリスクが高まります。

例えば、糖尿病や高脂血症を患っている場合には血管の内部が傷つきやすく、このトレーニングを行わない状態でも血栓ができる可能性が高いです。また、高血圧や血中のコレステロール値が平均よりも高い場合にも、血栓ができるリスクは高い状態です。血液の状態は、健康診断などで定期的に調べておき、異常がないかどうかモニタリングすることが大切です。

リスクを回避する方法としては、日常生活を健康的なものにするというのが第一です。血液の異常は主に生活習慣が原因で起こることが多く、特に年齢を重ねるごとに身体の自己修復機能が弱まるのでより一層健康に気を遣った生活が重要になってきます。食生活では、脂っこい食べ物や不規則な時間の食事を避けるようにします。

日常的に軽い運動をすることも重要です。また、喫煙や過度の飲酒によっても身体はダメージを受けます。特に喫煙は体内の活性酸素を増やすため、血栓だけでなく様々な他の病気のリスクを増やすことにもなってしまいます。

もしも血液の状態に不安がある場合は、トレーニングの前に医師による診察を受けましょう。トレーニングが可能かどうか、血液や血管の状態を確認して判断してもらうことが大切です。トレーニングはジムやフィットネスクラブだけでなく、クリニックでも行っている場合がありますので、健康面で不安がある場合にはクリニックでのトレーニング実施をおすすめします。

まとめ

脳内の血管に血栓が詰まり、血液が流れなくなることで脳細胞が壊死してしまう脳梗塞。発症からの時間が長ければ長いほど、重篤な後遺症が残ってしまう危険性のある病気です。

加圧トレーニングでは、血流の制限を行うことで体内の活性酸素が増えるので、血栓ができやすくなるリスクがあります。インストラクターや医師の指示のもと正しく加圧を行えば危険はありませんが、元々血管が弱くなるような持病を持っている場合には要注意です。日ごろの生活を健康的なものにすることはもちろん、定期的な医師の診断を受けることでリスクを回避することができます。

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